こんにちは、腎リハラボへようこそ。理学療法士の優です。今回は、“糖尿病患者にとって推奨される生活習慣とは?”というテーマについて話していきたいと思います。多くの方が、生活習慣は健康に大きな影響を与えるということについて言及しています。それでは始めていきましょう!
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今回はこの流れに沿って進めていきたいと思います!
- Recommendations
- 身体活動・運動の効果
- 身体活動・運動の内容
- まとめ
1. Recommendations
- 推奨度:B 成人2型糖尿病患者のほとんどは、週150分以上の中強度~高強度の有酸素運動に取り組むべきである。(運動しない日が3日以上空かないようにしながら、少なくとも週3日以上は行うべき)
- 推奨度:B 成人2型糖尿病患者は週2~3回レジスタンストレーニングを行うべきである(連日とならないよう行うべき)
- 推奨度:C 全ての成人、特に2型糖尿病患者は、日常における座りがちな生活習慣に費やす時間を減らすべきである(特に長時間の座位は30分毎に中断されることで、血糖コントロールに良い影響がある)
- 推奨度:C 週2~3回の柔軟トレーニングおよびバランストレーニングは成人糖尿病患者にとって推奨される
- 推奨度:B ベースラインの身体活動量および座位時間を評価し、座りがちな2型糖尿病患者に対して、座らない活動が増えるよう促すべきである
2. 身体活動・運動の効果
運動は血糖コントロールを改善し、心血管疾患リスク要因を軽減し、減量に貢献し、ウェルビーイングを改善する
018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee. 2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee Scientific Report.Washington, DC, U.S. Department of Health and Human Services, 2018
中から高ボリュームの有酸素運動は実質的に糖尿病患者の心血管疾患および全死亡リスクの軽減に関連する
azargan-Hejazi S, et al. A racial comparison of differences between self-reported and objectively measured physical activity among US adults with diabetes. Ethn Dis 2017;27:403–410
2型糖尿病患者に対する8週間の構造化された運動介入により、たとえBMIに変化はなかったとしてもHbA1Cが平均0.66%低下した
Boule NG, Haddad E, Kenny GP, Wells GA, Sigal RJ. Effects of exercise on glycemic control and body mass in type 2 diabetes mellitus: a meta-analysis of controlled clinical trials. JAMA 2001;286:1218–1227
成人2型糖尿病患者において、より高強度の運動がより大きなHbA1cと心肺機能の改善と関連している
Boule NG, Kenny GP, Haddad E, Wells GA, Sigal RJ. Meta-analysis of the effect of structured exercise training on cardiorespiratory fitness intype 2 diabetes mellitus. Diabetologia 2003;46: 1071–1081
3. 身体活動・運動の内容
推奨される運動は、各個人の特性に合わせて調整されるべきである
Colberg SR, Sigal RJ, Yardley JE, et al. Physical activity/exercise and diabetes: a position statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care 2016;39:2065–2079
糖尿病患者は定期的な有酸素運動とレジスタンストレーニングに取り組むべきである
Colberg SR, Sigal RJ, Yardley JE, et al. Physical activity/exercise and diabetes: a position statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care 2016;39:2065–2079
成人2型糖尿病患者は理想的には有酸素運動を少なくとも10分間は継続し、目標としては1日30分以上、できれば毎日行うべきである。日常の運動を、少なくとも2日を超えて間を空けないように行うことで、糖尿病のタイプに関わらずインスリン抵抗性が軽減されるとして推奨されている。
Jelleyman C, et al. The effects of high-intensity interval training on glucose regulation and insulin resistance: a metaanalysis. Obes Rev 2015;16:942–961
Little JP, et al. Lowvolume high-intensity interval training reduces hyperglycemia and increases muscle mitochondrial capacity in patients with type 2 diabetes. J Appl Physiol (1985) 2011;111: 1554–1560
成人糖尿病患者は週2-3日、連続しない日程でレジスタンストレーニングに取り組むべきである
U.S. Department of Health and Human Services. Physical Activity Guidelines for Americans, 2nd ed.
Accessed 2021/10/20. Available from https://health.gov/sites/default/ files/2019-09/Physical_Activity_Guidelines_2nd_ edition.pdf
より高重量を扱うフリーウェイトやマシントレーニングを行うことで、血糖コントロールと筋力向上につながる可能性がある
Willey KA, Singh MAF. Battling insulin resistance in elderly obese people with type 2 diabetes: bring on the heavy weights. Diabetes Care 2003;26:1580–1588
最近のエビデンスは、糖尿病患者を含むすべての人は、座っている時間が30分以上継続しないよう簡単に立ち上がることや、歩くこと、またその他の軽い身体活動を行い、座っている時間を減らすよう奨励されるべきとしている
Katzmarzyk PT, Church TS, Craig CL, Bouchard C. Sitting time and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer. Med Sci Sports Exerc 2009;41:998–1005
Dempsey PC, Larsen RN, Sethi P, et al. Benefits for type 2 diabetes of interrupting prolonged sitting with brief bouts of light walking or simple resistance activities. Diabetes Care 2016;39:964–972
余暇活動に参加し、座っている時間を避けることが2型糖尿病罹患リスクの軽減に関与し、また、2型糖尿病患者においては血糖コントロールを助ける可能性がある
Wang Y, Lee D-C, Brellenthin AG, et al. Leisure-time running reduces the risk of incident type 2 diabetes. Am J Med 2019;132:1225–1232
Schellenberg ES, Dryden DM, Vandermeer B, Ha C, Korownyk C. Lifestyle interventions for patients with and at risk for type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Ann Intern Med 2013;159:543–551
4. まとめ
2型糖尿病患者において、
- 有酸素運動は少なくとも週3日150分以上、2日を超えて空かないように、中~高強度で行うことが推奨される。
- レジスタンストレーニングは、連日にならないように週2-3日、大筋群を含む5種目を少なくとも1セットずつ行うことが推奨される。
- 2型糖尿病患者において、柔軟性トレーニング/バランストレーニングは週2-3回行うことが推奨され、運動の種類としてヨガ、太極拳など広い範囲が含まれる。
- 日常的な座位時間の全体量を減らすべきであり、また長時間継続しないよう30分毎に立ち上がる、歩くなど軽い身体活動を行うことが推奨される。
より単なる運動の推奨だけではなく、目標値を設定することで生活習慣や運動指導の効果が高まることはさまざまな研究で明らかになっています。こちらの文献にある具体的な頻度・回数などの数値はその設定に役立ちますね!
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