こんにちは、腎リハラボへようこそ。理学療法士の優です。今回は、“各種腎代替療法に対する、腎臓リハビリテーションの効果”というテーマについて話していきたいと思います。腎臓リハビリテーションが身体機能等の改善に有効であることは様々な文献で言及されてきましたが、血液透析、腹膜透析、そして腎移植患者のそれぞれに対する腎リハプログラムの有効性を比較した調査はまだなされていません。それでは始めていきましょう!
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今回は、こちらの流れに沿って進めていきます。
- 背景
- 方法
- 結果
- まとめ
1. 背景
様々な種類の身体活動がCKD患者の運動耐容能を改善し、身体機能を最適化する。
storer TW, et al. Endurance exercise training during haemodialysis improves strength, power, fatigability and physical performance in maintenance haemodialysis patients. Nephrol Dial Transplant 2005; 20: 1429–1437.
Cheema BSB, Fiatarone Singh MA. Exercise training in patients re- ceiving maintenance hemodialysis: a systematic review of clinical trials. Am J Nephrol 2005; 25: 352–364.
柔軟性、バランス能力、筋力、気分、不安、うつ、心血管疾患リスク、透析効率、降圧薬の必要性、減量、体重維持など、日常生活能力の改善について報告がなされている。
Gutman RA, Stead WW, Robinson RR. Physical activity and em- ployment status of patients on maintenance dialysis. N Engl J Med 1981; 304: 309–313
Koufaki P, Mercer TH, Nash PF. Effects of exercise training on aerobic and functional capacity of end-stage renal disease patients. Clin Physiol Funct Imaging 2002; 22: 115–124
Kouidi E, Iacovides A, Iordanidis P. Exercise renal rehabilitation program: psychosocial effects. Nephron 1997; 77: 152–158
Goldberg AP, Geltman EM, Gavin JR, III. Exercise training reduces coronary risk and effectively rehabilitates hemodialysis patients. Nephron 1986; 42: 311–316
Kong CH, Tattersall JE, Greenwood RN et al. The effect of exercise during haemodialysis on solute removal. Nephrol Dial Transplant 1999; 14: 2927–2931
Miller BW, Cress CL, Johnson ME et al. Exercise during hemodia- lysis decreases the use of antihypertensive medications. Am J Kidney Dis 2002; 39: 828–833
Cook SA, et al. A structured weight management programme can achieve improved functional ability and significant weight loss in obese patients with chronic kidney disease. Nephrol Dial
Transplant 2008; 23: 263–268.
MacLaughlin HL, et al. Nonrandomized trial of weight loss with orlistat, nutrition education, diet, and exer- cise in obese patients with CKD: 2-year follow up. Am J Kidney Dis 2010; 55: 69–76
しかし、様々なCKD患者全体に対する実用的なリハビリテーションプログラムについて、国民保険サービスから派生した文献はまだ報告されていません。
この研究の目的は、
(1)実用的に構築された12週間の腎臓リハビリテーションプログラムの完遂が、参加者の様々な病期においてどの範囲まで運動能力などを改善できるかを明らかにすること
(2)プログラムへのアドヒアレンスや脱落に関連する参加者の特徴を明らかにすること
とされています。
2. 方法
この研究で実施された腎臓リハビリテーションプログラムは、12週間にわたる、週2回の監視型運動/指導および週1回のホームエクササイズで構成され、監視型運動は10分間のウォーミングアップ、40分間の有酸素、筋トレ、バランストレーニングと10分間のクールダウンが含まれました。
3. 結果
131名に腎臓リハビリテーションプログラムが実施され、そのうち77名が完遂し54名が脱落しました。
腎リハプログラムの完遂者における介入前後の比較では、 シャトルウォーキングテストは44%の改善、TUGは25%の改善が見られ、またその他の身体機能や精神機能の評価項目においても有意な改善が見られました。
腎リハプログラム完遂者と脱落者のベースラインにおける比較では、HD患者で見ると脱落者のシャトルウォーキングテストが有意に低く、全体で見ると脱落者のDASIが有意に低い結果となりました。
4. まとめ
各腎代替療法の中で、HD患者における脱落者の割合がもっとも多い結果となりました。
HD患者は週3回の通院が必要とされており、筋力低下や疲労感にも苦しんでいる。
Heiwe S, Clyne N, Tollback A et al. Effects of regular resistance training on muscle histopathology and morphometry in elderly patients with chronic kidney disease. Am J Phys Med Rehabil 2005; 84: 865–874.
HD患者における監視型の外来運動プログラムは、非監視型のホームエクササイズや透析中の運動と比較し最大酸素摂取量の改善が大きかったが、脱落者も多かった。
Konstantinidou E, Koukouvou G, Kouidi E et al. Exercise training in patients with end-stage renal disease on hemodialysis: comparison of three rehabilitation programs. J Rehabil Med 2002; 34: 40–45.
HD患者における監視型運動療法を非透析日と透析中で比較すると、非透析日において最大酸素摂取量の改善が大きく、また脱落率も高かった。
Kouidi E, Grekas D, Deligannis A et al. Outcomes of long-term exercise training in dialysis patients: comparison of two training pro- grams. Clin Nephrol 2004; 61: S31–S38.
今回の腎リハプログラムは、限られたリソースの称賛されるべき使用方法ですが、HD患者を非透析日に運動してもらうことに難しさが生じることは認識しておくべきであり、HD患者に非透析日に病院で行う運動介入は、あまり現実的ではないかもしれないとの言及がなされています。
これまでの結果を考慮すると、HD患者に対する運動介入は透析中が最適、腹膜透析および腎移植患者には外来での運動介入が適切なのかもしれません。
まとめです、今回紹介した論文より、12週間の腎リハプログラムは、CKD患者の身体機能を改善する可能性があること、HD患者に対し、運動への参加およびその効果を得るために、透析中運動療法の提供を検討する必要があることが分かりました。
今回の内容は以上です、最後までご覧いただきありがとうございました!
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